2009年11月17日火曜日
:無重力状態
● 1994/10[1994/09]
『
宇宙飛行士の大半が飛行中に背中の痛みや、身長の伸びを報告している。
重力の重みがかからないため、背骨が伸びることが原因と見られる。
向井千秋の身長は2.5cm伸びた。
無重力状態では、血液などの体液は頭部や上半身に偏ってしまう。
クルーの顔がむくんだようになる「ムーンフェイス」になるのもこのためだ。
だが、地上に戻った時には急速に体液が引き戻されるので、脳へ流れる血液が不足し、脳貧血状態を引起こすことがある。
宇宙で気持ち悪くなって吐く現象は「宇宙酔い」であるが、この発症のきっかけは、天井や床、壁と自分の位置関係、つまり上下、左右の位置が混乱したときに起こる。
調子がおかしくなりそうになると、5,6秒かけて上下、左右の位置を決めをし、調整した。
こうした工夫で早期に克服した千秋は2日目からは吐いたりすることはなくなった。
カバナが妙な提案をした。
「天井と床をかえてみると面白い」というのだ。
千秋は早速ためした。
5,6秒かけると天井が床に見えてきた。
だが、壁を天井に見ることはどうしても無図化しかった。
人間の感覚は180度の変化はだませても、90度の変化はごまかせない。
どうしてだろう。
これまでの有人宇宙体験を生かして生活様式の改善はかなり進められたものの、例えば用をたすにしても、重力がないので排泄物は自然に落ちない。
大便は電気掃除機のような装置で吸引し、それを回転羽で振り回して、密閉便器の内壁にくっつけて固定させてしまう。
小便はホースに個人用アダプターをつけて吸引する。
いったん排水タンクにためた後、船外に排出される。
すると氷の塊となり、太陽光を受けて輝きだすため「宇宙ホタル」と呼ばれる。
』
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