2009年4月10日金曜日
:『ヒエログリフ概要』
● 2008/06[****]
『
● 古代エジプトのヒエログリフ表記法概要
シャンポリオンが突如として理解し、その数年間、究明に努めてきた「原理」とは次ぎのようなものである。
ヒエログリフの表音文字は、ギリシャ時代とローマ時代の外国名にのみ限定されるのではなく、それ以前のエジプト語にも広く使われていた、という原理である。
のちの立証したように、ヒエログリフの文字体系は、主に3種類の文字からなる。
「象形文字」(特殊な形の表意文字とみなされることもある)
「表意文字」、そして
「表音文字」から成る。
他に、決定詞のように特定の方法で使われる文字もある(注:ということは4種類か)。
このようなシステムの複雑さは、ある一つの文字がいくつかの昨日を持ちうるということから生まれる。
たとえば、
は描かれているものを意味する象形文字として使うことができるので、この絵文字は「アヒル」を意味するが、しかし、また表意文字としての機能も持つ。
には「の息子」という意味があり、「ラー神の息子」を意味する称号
「サ・ラー」にふつう使われ、ファラオの名前の前にしばしばつけられる。
の3番目の使用法は表音文字として「サ」という音を表す。
たとえば「木の梁」を意味する
「サウ」のように。
何年かのち、シャンポリオンはヒエログリフをこう簡潔に定義した。
「それは複雑なシステムである。同じテキストや語句のなかで、その文字は同時に、象形的、表意的、表音的になりうる。同じ単語のなかでもそう言えよう」
シャンポリオンは、ヒロエグリフの基礎的な表音原理を発見したが、アブ・シンベルのカルトウーシュではじめてみたある文字についてはずっと誤解していた。
は「m」ではなく、「ms」(ふつうmesと綴る)を意味していたのである。
の場合、この名前は文字通りには「Thoth-mes-s」と綴られるが、最後の「s」は表音補語とよばれ、その前の文字が「s」で終わることを示す。
「表音補語」は二子音表示のヒエログリフ(msあるいはmesを表す上記の文字のように二つの子音をもつもの)と、
三子音表示のヒエログリフ(ntrあるいはneterを表す上記の文字ように、三つの子音をもつもの)
に、しばしば添えられる。
表音補語として使われるヒエログリフは下記の「s」や
あるいは下記の「p」のように、
一つの子音を表す、単子音のヒエログリフである。
これらは、シャンポリオンがクレオパトラなどの非エジプト名ではじめて識別したヒエログリフである。
表音文字のヒエログリフを分類する現代的方法のひとつは、単子音、二子音、三子音というように、その子音の数による。
エジプト人はアルファベットのような概念は持っていなかったが、単子音文字はアルファベットのように使われ、もっとも普通に見られる文字である。
「単子音文字」は全部で「24」あり、その2つは「弱子音」と「半母音」である。
碑文・文芸アカデミーでの会合で、シャンポリオンはいちばん最後に表音文字とヒエログリフに関する講演を行った。
この論文は加筆ののち、アカデミーの終身書記官のボン・ジョゼフ=ダシエあての書簡として出版された。
「エジプト学」のの記念碑となっているこの論文は、いまでは単に「ダシエ氏への書簡」として知られている。
1823年の年末まで、シャンポリオンは「エジプトのパンテオン」と、「古代エジプトのヒエログリフ表記法概要」と呼ばれることになる解読法び最新小生な解説書に取り組んだ。12月末までにこの『概要』はほぼ完成し、国王の寵臣、ブラカス公爵もツテを頼って、本を自ら国王に贈呈できることを楽しみにしていた。
国王への献呈がきまるや、「概要」は出版が許可され、1824年4月、発売された。
この本では、「ダシエ氏への書簡」でしか断定されていなかったことが詳しく述べられていて、同様に大評判となった。
「概要」は、彼の最新の広範囲にわたるヒエログリフに関する発見が満載されていた。
「驚くべき一冊」だった。
序文にはこう述べられていた。
彼の表音アルファベットは
「はじめ、エジプトの遺跡の年代を確定するということにその意義があったが、しかし、それよりはるかに重要性を持つようになった。
それは私にとって、ヒエログリフの表記法を解く真の鍵と呼ばれているものとなったからである」。
シャンポリオンは数ページにわたって、解読の歴史について述べ、自分自身の成果を明らかにした。
それから、ヒエログリフについての説明、その意味やその理由、王や個人の固有名詞に関する議論、社は医者の称号、複合的なカルトウーシュの意味、ヒエラテイクとデモテイクなどの様々な文字、非表音的ヒエログリフ(今日では象形文字あるいは表意文字と呼ばれている)、文法の概要などと続く。
』
【忘れぬように、書きとめて:: 2009目次】
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