2009年8月2日日曜日

神々の沈黙:ジュリアン・ジェインズ


● 2005/04



 序章:意識の問題
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自らの過去と未来の行動を収めた問題の書を、つぶさに調べ上げる調べ上げることのできる隠れ家。
 鏡に映るもののどれよりも自分らしい内なる宇宙。
 自己の中の自己、すべてでありながら何物でもない、この意識。
 いったいその正体は?
 そして、それはどこから生まれてきたのか>
 そして、なぜ?

 人間は、意識が生まれたほぼその瞬間から意識の問題を意識してきた。
 どの時代においても、それぞれの主題と関心に沿って意識を記述してきた。

 意識の性質の探求は「心身問題」として知られ、重苦しい哲学的解釈に傾きがちだった。
 しかし、進化論の出現以降は、より科学的な問題へと形を変えた。
 つまり、心の期限、さらに詳しくいえば、進化の過程における意識の期限の問題になったのだ。

 私たちは、ただの物質からどうやって内的世界を引き出しうるのか。
 もしそれが可能なら、それは何時可能になったのか。
 この問題は20世紀の思潮の中心にあった。
 この問に対する答えをいくつか手短に見直すのも有益だろう。
 特に重要だと思う8つの説について説明することにしよう。

1.物質の属性としての意識
2.原形質の属性としての意識
3.学習としての意識
4.形而上の付与物としての意識
5.無力な傍観者論
6.創発的進化
7.行動主義
8.網様体賦活系としての意識

 私たちには、心的現象を神経構造や化学で説明しようとする性癖があり、それが誤っているのだ。
 神経系について知りうるのは、行動を観察して確認したことだけだ。
 神経系の配線図がわかったとしても、わたしたちは基本的問題の答えを得ることはできない。

 私たちは脳に関する知識だけから、その脳が私たちのような意識を持っていたかどうか、を知ることは絶対にきない。
 もず最も重要な問題、「意識が何であるか」という概念、私たちの内観がいったいナンなのかというところから始めなければならない。

 「意識とは何か」を規定することから、新たに始める必要がある。
 これが難業である。
 あるものの正体を明かす手がかりが得られないとき、「
それが何でないか」を問うことからはっじめるのは賢明なやり方だ。
 それが次章の仕事になる。





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