2009年12月29日火曜日
:「死亡リスク」
● 2008/12
『
情報は必ずしも有益なものとはかぎらない。
ある朝、新聞を広げると、赤鉛筆で記事を二重三重に囲ってある。
明らかに自然現象ではない。
最近、新聞がカラー化したといっても、記事を赤で囲うとは考えられない。
妻のしわざに決まっている。
不吉だ。
妻はすでに外出した後だ。
読むと、60歳以上の夫婦を調査した結果を報じたもので、妻が夫と暮らすと、死亡リスクが2倍になるという記事だった。
一方、夫は妻と暮らすと死亡リスクは半分になるという。
衝撃的な記事だ。
「死亡リスク」の意味が分かっていたら、もっと衝撃的だろう。
要するに、男女が同居すると、一人で暮らすより女の寿命は縮み、男の寿命は延びるというのだ。
以外だった。
私の考えでは、男女が同居すると、男はストレスがかかって早死にするが、女はストレスが少ないから長生きすると思っていたから、逆の結果だ。
この記事の影響は大きい。
かなりの数の中高年の女が離婚しようかと迷っている。
この記事を読んで、離婚しないと早死にすると考えて、離婚に踏み切る女もでるのではないかと思う。
もちろん、男からすれば、そんな女はいない方がいい。
長生きのために去っていくような身勝手な女が去ってくれるもは大歓迎だ。
だが、この記事によれば、そういう女は長生きし、去られた男は早死にするのだ。
女は記事を読んだ後は、夫を見るたびに
「こんな男のために命を縮めているのか」
と確実に思うようになる。
下手すると殺意が芽生えるかもしれない。
殺人まではいかなくても、身体に悪いものを食べさせるようになる可能性は高い。
男の寿命は短くなる。
問題は、なぜ妻がこの記事を赤で囲ったかだ。
別れるつもりなら、こんな回りくどい方法を使う女ではない。
たぶん妻のメッセージは
「命を縮めてまで一緒にやっているのだから、もっとわたしを大事にしろ」
というものだろう。
今まで以上に無茶な要求が増えるに違いない。
それを考えると、寿命が縮む思いだ。
翌日の新聞に、ある男がその記事を妻に読まれないように切り抜いた話が載っていた。
新聞を切り抜くのは、通常、後で読み返したり、保存しておくためだが、人に読ませないために切り取るということもあるのだ。
切り抜くと、かえって怪しまれるのではないかと思う人もいるかもしれないが、-----
情報隠匿が悪いと言っている場合ではない。
自分の命がかかっているのだ。
とにかく、女が先に読むと赤で囲み、男が先に読むと切り抜くほど、その記事は男にとって迷惑な記事なのだ。
数日後、朝刊を広げると一部が切り抜かれていた。
明らかに妻のしわざだ。
わたしに読まれると、非常に困る記事があったのだ。
もしかしたら、「死亡リスク」の記事が誤報だったという記事かもしれない。
』
【忘れぬように、書きとめて:: 2009目次】
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